「旅する影絵 日本」番外編の2回目は、関東。
この地方のものは、探しても東京のものばかりしか見つからないかなと思ったら、
うれしいことにほかの県のものもあれこれありました(^o^)v
(全ての画像は、右下をクリックすると拡大できます)
<栃木県>
◆那須のこびとたちとオオルリ(藤城清治美術館ポスター)
中でも見落としてはならないのが栃木。
なにせ藤城先生の美術館のお膝元ですから(^_-)-☆
美術館の建物と、背景には那須岳とおぼしき山。
吊り橋は、那須にあるもみじ谷吊り橋かつつじ吊り橋でしょう。
ちなみに青い鳥がオオルリ。
栃木県の県鳥です。
◆那須の少女とオオルリ(藤城清治美術館ポスター)
美術館のポスターには実は2種類あり、こちらは当初版の絵柄。
やはりストレートにこびとが描かれていた方がいいということになったのかも?
でもこちらも勝るとも劣らず、捨て難い出来映えです。
ポスターが描かれる前に、2012年の新聞に載った広告。
記念すべき、先生が描いた最初の藤城清治美術館と思われます。
さらにもう1枚、NHKで去年放送された "Face to Face" の中で、
先生は美術館を描いていらっしゃいます。
上のものと対照的に最新の作品なのですが、
でも残念なことに完成作は未発表で、この場面でしか確認できていません(涙)
<群馬県>
◆尾瀬の水芭蕉
尾瀬国立公園は群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがっていますが、
「旅する影絵 日本」の分け方に従って群馬としました。
この作品には「旅する影絵 日本」に収められているバージョンのほか、
そこに虹の描き足されたものもあります。
ただ虹のある方が古い作品のようで、いわばこちらがオリジナル。
◆夏の思い出
さらにもう1枚の尾瀬。
「夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空」の歌詞で有名な、表題曲のための作品。
こちらには少女と馬ではなく、少年が描かれています。
上のものとよく似た構図ですが、
比べてみると細部にむしろ共通する部分はほとんどなく、
先生のこだわりのすごさに驚かされます(@@)
<茨城県>
◆「牛久沼のほとり」
同小説の見返しページのために描かれた1枚です。
スケッチは写実に徹するように描いているという先生ですが、
この作品からは情感があふれており、
湖面の揺らぎやおだやかな照り返しまでもが感じられる深い味わいの作品です。
<山梨県>
◆水晶山
昇仙峡 影絵の森美術館のために作られたもので、
この地にある水晶山がモチーフ。
シンプルな構図ですが、よく見るとこびとの背景だけが青空になっていたり、
写実に基づくと思われる岩の造形が迫力に満ちていたりと、
ここでも先生のこだわりを見て取ることができます。
<東京都>
◆銀座と平和の鳥
銀座4丁目をモチーフにした作品はいくつかあって、
これは「銀座いろはかるた」の箱にも印刷された作品。
ここではこびとの足元にご注目!
いつもの長靴タイプとはちょっと違ってますね。
「おしゃれは足元から」。
銀座ということで、こびともさりげなく気配りしてるんです(^_-)-☆
◆銀座四丁目のこびとと猫
こちらも4丁目がモチーフになっています。
2013年教文館展のために作られたもので、まるで現代アートのような味わいですが、
実は教文館までのアクセス地図!
先生のセンスと遊び心の成せる業です。
◆タイトル不詳(教文館~ヤマハ案内図)
地図をもう1枚。
2013年は教文館とともにヤマハ銀座ビルでも影絵展が催され、
開催期間の重なった時期にはこんな案内図が掲示されていました。
銀座の街を、こびと達が元気に行き来しています。
道端で、もしかして彼らに出会った方もいらっしゃるのでは?(^_^)
◆和光ビル
その4丁目、そして銀座全体さえも象徴する建物。
下から上へと広がる感じで描かれ、
写実的にスケッチを行なうようにしていらっしゃる先生としては珍しく、
かなりのデフォルメがなされています。
◆天使の少女
和光ビルをモチーフにした作品には、
上のスケッチや銀座いろはかるたの絵札のほかに、
もう1枚影絵があります。
少女の二の腕に描かれているのは「10」。
2011年の教文館展10周年記念にちなんだ絵柄になっています(^_^)v
◆交詢社
銀座にある先生の母校、慶応義塾大学にまつわる建物で、
1951年、先生はここで影絵劇の大作「せむしの子馬」を初演しています。
ちなみに音楽の作曲とオーケストラ指揮は、ゴジラのテーマで有名な伊福部昭氏。
建物は新築されましたが、以前の建築の一部が新ビルの壁面に組み込まれ、
新旧が一体化し独特のハーモニーを醸しています。
銀座いろはかるたにちなんだ場所を見て回ったとき、
もっとも強烈な印象を受けた建物がこれでした。
古き良きものを大切にする、銀座の心意気!
◆タイトル不詳(サンドイッチマン)
戦後間もない銀座の、サンドイッチマン。
当時は街並みに溶け込んで、見慣れた景色の一部でした。
藤城先生が東京興行(現在のテアトル東京)に入社した翌年、1948年の作です。
◆テアトル浅草
同じく1948年に描かれたもの。
こちらも東京興業の映画館でした。
◆花
「春のうららの隅田川」の歌詞がよく知られる、滝廉太郎の曲。
浅草横を流れる隅田川の川べりには、昔はこんなにも江戸情緒があったんですね。
◆タイトル不詳(東京タワー)
意外にも、先生は東京タワーを何枚か描いていらっしゃいます。
1枚は「旅する影絵 日本」に収まられている最新のもの。
そしてこちらはタワー完成の翌年、1959年の作品。
数年前スカイツリーができあがった頃と同じように、
さぞかし巷はその話題で持ち切りになっていたことでしょう。
◆タイトル不詳(慶応義塾大学キャンパス)
もう1つの東京タワーは、先生の母校からの眺め。
制作年代は不明ですが、おそらく上の作品と前後して作られたものと思われます。
左に真っ黒な柱を思い切って描き込んであり、かなり大胆な構図です。
◆タイトル不詳(慶応義塾大学図書館)
レンガ造りの建物がお好きな先生は、この図書館を何度か描いていらっしゃいます。
その中でも、これはたぶん一番古いもの。
◆タイトル不詳(慶応義塾大学演説館)
1875(明治8)年に建てられた歴史的建造物で、福沢諭吉もここで演説をしたとか。
やはり古い建物なので、演説館をモチーフにした作品も数点ありますが、
一番メルヘン調のものを選んでみました。
◆タイトル不詳(慶応義塾大学日吉キャンパス)
奥行き(3D)をあえて平面的(2D)に描いた作品で、
これは浮世絵で使われるデフォルメの手法(特に中央の道路部分)。
「ナゾの赤い三角」を思い出します。
◆三田の新しい研究棟と古い酒処
新旧のコントラストの面白みを狙って描かれたもの。
やはり先生は、古い建物がお好きなんですね。
藤城先生が高校3年生(慶応義塾大学予科)のときに描いた、先生の似顔絵。
授業中にバレないように素早く描いていたら、
短時間で人物の特徴をとらえられるようになったとか(笑)
サインは「Seizi」。
「Seiji」ではありません。
もしかしたら一番最初のサインかも?
◆光陰の中の巣立つ仔馬たち
藤城先生がこの幼稚園の卒園者であることがご縁で、
慶応義塾幼稚舎に2008年に寄贈された作品。
幼稚舎も東京の風景の1つではあるわけですが、
園内には園児の親御さん以外は入れません。
つまりこの影絵は閲覧不能(涙)
六本木の「花かんざし」の作品同様、都内にありながら幻の1点。
◆タイトル不詳(クリスマスフェスティバル)
武道館です。
ここで木馬座ショーが何度も開かれていました。
いわば先生にとって思い出の詰まった場所。
2014年に24時間テレビで大作を完成させたのも、この武道館でした。
なんと40年以上の月日が流れています。
さぞかしいろんな想いが、先生の胸の中を去来したことでしょう。
なお武道館で武道以外のイベントを開催したのは藤城先生が最初。
なんと、あのビートルズ公演よりも先だったんです!
◆ぼくのスタジオ
言わずと知れたアトリエ 兼 藤城清治事務所です。
これが「旅する影絵 日本」に収められていないのは、
先生がご遠慮なされたからでしょうか?
でも僕が漏らしては、先生から叱られてしまいそうです(^^;)
絵柄には、お約束のこびとの看板やピンクポルシェ!
◆アラメの専用コーナー
藤城清治スタジオの隣りは、実はご自宅。
その軒先の様子です。
車のナンバーはもちろん「7111」(^_^)v
◆中学二年の時へぎ板と割り箸で作った僕の家の模型
こちらはご自宅そのもの。
今も大きくは変わっていないのだとか。
1937年の作で、時に先生13歳!
前出の高校3年生のときに描いた先生の似顔絵よりもさらにさかのぼり、
現存する最年少作品と思われます。
◆タイトル不詳(駒沢公園)
ご自宅から3.5kmほどのところにある駒沢公園は、先生の定番散歩コース。
美しい木々、ジョギングやウォーキングする人々、散歩する犬たち、焼いも屋など、
さまざまな園内の様子をたいそうお気に召していらっしゃるそうです。
◆走る幸せ
上のスケッチの左のようなジョギングする女性をクローズアップし、
影絵に仕上げた作品です。
先生が「さわやかな風がさーっと通りすぎていくよう」と例える、女性ランナーの姿。
これは数多くある美人画的な影絵の中でも、異色の1枚でしょう。
駒沢公園の作品には、散歩する藤城先生ご自身の作品まであります!
その後に何枚も描かれている自画像の、こちらが事始め。
しかも影絵にまでなっているのはこの1作のみです。
◆過去記事
:藤城清治美術館グランドオープン出席日記<1>(庭~入口)
:藤城清治美術館 初の広告
:<動画> NHK Face to Face
:誰の絵でしょう? その1
:昇仙峡 影絵の森美術館①
:昇仙峡 影絵の森美術館②
:銀座いろはかるた
:教文館 「光と影の横丁展」
:教文館~ヤマハの案内図 下絵
:映画パンフレット「三十四丁目の奇蹟」
:学習画報 その1
:郵便ポスト
:藤城先生18才の作品(サインのルーツとその変遷)
:午年にちなんで<1>
:木馬座 と 武道館
:藤城先生と華麗なるクルマたち<1>
:教文館 12年分のダイレクトメール
:藤城先生の自画像特集