藤城先生の作品の中で、
一番先に横笛を吹いたのは誰なのでしょう?
最初に横笛を吹いたこびとは、「春をよぶ歌」。
もちろん影絵の中の第一番目ということにもなります。
今から63年前、昭和28(1953)年2月1日の朝日新聞に掲載されました。
横笛吹きのこびと登場は、
最初のこびとが誕生した同年1月4日の「日の出の踊り」からわずか1ヶ月後のことで、
2作目のこびと作品ということになります。
ちなみに、「日の出の踊り」のこびとには顔が描かれていなかったので、
初の”顔の描かれたこびと”ということにもなります。
目は最初から、先生独特の猫っぽいものだったんですね。
影絵の横笛吹き第1号はたしかに「春をよぶ歌」。
でもそれが本当に藤城先生の作品の横笛吹き第1号なのか?
とずっと気になっていました。
そしてようやく発見したのがこちら。
横笛を吹く”人形”です!
もうお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、
これは「ピータァ・パン」。
暮しの手帖第1号に載った、いわば先生の公式デビュー作!!
こんなにも最初期に、もう横笛吹きが存在していたんですね(@_@)
横笛吹きのルーツ=暮しの手帖第1号。
この驚きの事実に今頃になって気付きました。
まったくの灯台下暗し(>_<)
暮しの手帖第1号は昭和23(1948)年9月20日発売なので、
横笛吹きのルーツは、一気に5年近くさかのぼりました。
つまり、もう68年もの歴史があるのです。
ちなみに、
最初のこびとは昭和28(1953)年1月4日の「日の出の踊り」と先に書きましたが、
実はさらにこれをさかのぼる、こびとのルーツとおぼしきものがあります。
それが「五つのえんどう豆」。
この2枚の作品の中に、見覚えのある三角帽子が描かれています。
三角帽子をかぶるえんどう豆。
”こびと”という明確なイメージは、この頃の先生にはまだ無かったでしょうけれど、
えんどう豆にその遠いルーツがあったことは、ほぼ間違いのないことでしょう。
そして「五つのえんどう豆」が載ったのが、
昭和24(1949)年1月1日発売の暮しの手帖第2号。
この作品が、先生の最初の影絵なのです。
・・・なんと、第1号が横笛のルーツ、第2号がこびとのルーツ。
暮しの手帖の凄さに、今回あらためて感動しました。
この2冊に記録された作品は、単にデビュー作と最初の影絵というだけに留まらず、
先生の2つのルーツを記す、この上もなく貴重なものです。
そしてこれら2つのルーツが1つになって「春をよぶ歌」が生まれたこと、
つまり代表的なモチーフである"横笛吹きのこびと”の誕生は、
いわば68年前からの必然だったのではないでしょうか。
そんな長い歴史を踏まえて眺めると、
半ば見慣れていたはずのこの"こびと"が、これまでとは何だか違って見えて来ます。
◆過去記事
:朝日新聞日曜版<1>
:最初のこびと「日の出の踊り」
:とと姉ちゃんの「あなたの暮し」(追記あり)
:暮しの手帖 第二号 「五つのえんどう豆」