今年の干支にちなみ、さっそく鳥づくしで参りましょう(^_^)
(それぞれの画像は、右下をクリックすると拡大できます)
「天に舞う尾長鶏」は、12年前の酉年に2作目の干支作品として追加作成されたもの。
もちろんそんな歳月など全く感じさせない、メルヘンあふれる1点です。
モデルになったうちの1羽は、この尾長鶏だったのでしょうか?(^_^)
そんな尾長鶏、「猫の相撲とり」では長い尾をたなびかせ、
華麗に空を飛んでいたりもします。
なんだかこれも、ちょっぴりお正月っぽい雰囲気ですね(^_^)
鶏と言えば、「ブレーメンの音楽隊」。
当初はこのモニュメントにほぼ沿った姿だった作品は、
こびとやねずみまで登場してだんだんと先生らしくアレンジされ、
その後はこんなにもユニークに♪
猫のチェロに合わせ、メインボーカルの鶏が「コケコッコー」って歌ったのかも?!
あるいはドイツ語で「カッカドゥードゥルドゥー」??
(昔、「ひょっこりひょうたん島」の中でそんな話が出てましたっけ ^_^)
さらに、「生きるよろこび」の中で「音楽隊」が激変!
なんとキリンまで参加しています(@_@)
そういえばキリンの鳴き声って、どんなふうなんでしょう?
2番目の鳥はオオルリ。
この美しい鳥は栃木県の県鳥なので、藤城清治美術館には作品がいくつもあります。
まずは美術館ホームページを飾る、「那須のこびとたちとオオルリ」。
上の作品の元になった「那須の少女とオオルリ」。
なおこちらの原画は見たことがあるのですが、
「那須のこびとたちとオオルリ」の方はまだ確認できておらず、
一度ぜひ拝見してみたい作品です。
さらにオオルリ作品が続きます。
「オオルリとこびと」は、美術館を訪れた方なら必ず目にしていらっしゃるもの。
というのも、展示室へ渡る廊下の突き当りには、この作品が飾られているからです。
ちなみに美術館オープン当初はこんなふう。
のちにオオルリだけが彩られ、とても印象的な仕上がりになりました。
モノクロ影絵の一部だけが色付けされている作品は、かなり珍しいです。
もしかしたら上の1点のみ?
先に館内のオオルリをご紹介してしまいましたが、
エントランスドアにも、このとおり(^_^)v
お庭の猫の指先も、きっとオオルリなのでは?!
ご参考までに、栃木県のゆるキャラ「ルリちゃん」。
とちぎ未來大使のケロヨンと、コラボしないかな~♡
同じ色のオオルリとは対照的に、
「青い鳥」は人々の思いの先にしかいない架空の鳥。
それを探しに旅に出たチルチルとミチルの姿です。
1960年台の作と思われる高い完成度のイラストは、
そのまま影絵にもできてしまいそう!
こちらはラストシーン。
家に帰ってみたら、飼っていた鳩こそが青い鳥だったことに気付く場面です。
今の作風とは異なる大胆な色使い、屋根や壁を省いて室内を描く思い切った構図、
一見しただけでは気付かない赤い三角形の意味など、
実は見どころのとても多い1点です。
架空の鳥といえば、不死鳥。
「よみがえれフェニックス」は震災からの新潟復興を願って作られたもの。
そのバージョンアップ作品「生き返れフェニックス」。
大空へと羽ばたくフェニックスから、藤城先生の思いの丈があふれています。
たくさんの花火が上がっているにもかかわらずあたりを支配する静けさは、
祈りの思いそのものなのでしょう。
先生の描く架空の鳥を、もう1羽。
「マボロシの鳥」です。
美しい彩りのマボロシの鳥と、華やかな衣装の男。
それとは対照的に、ほとんど無彩色で描かれた客席。
これはカラー影絵とその原点であるモノクロ影絵とが共存する、最初の作品でしょう。
あまりにもさり気なく使われているので気付きにくいですが、
実はすごいアイディアの1点です(@_@)
なおこの手法は、
その後の「セロ弾きのゴーシュ」ステージ場面でも、繰り返し使われています。
変わって、今度は白鳥。
その名前から真っ先に思い出すのは「天使の贈り物」。
赤いリボンをくわえ、まるで福音を伝える使者のようですね。
これは「白鳥の王子」。
先生のお好きな作家アンデルセンのお話です。
白鳥たちが冠をかぶっているのは、彼らがみんなこの王女様の兄弟だから。
かけられてしまった魔法を解こうと、今から魔女の元へ向かう場面です。
白鳥はこんな作品にも。
和洋さまざまなお話の場面を集めたもので、
白鳥に乗るのは、ニルスでしょうか?
忘れてならないのはこちら。
「みにくいあひるの子」です。
彼が本当は白鳥の子だってこと、危うく見逃すところでした(^^;)
あひる達にいじめられても負けないだけの、不屈の面構え(つらがまえ)!
こちらは鶴。
白鳥と並び、冬の空を羽ばたく孤高のイメージのある鳥ですね。
鶴といえば、まず思い浮かぶのは「鶴の恩返し」。
その影絵劇上演に当たって、なんと先生は機織り機を導入し、
本物ならではのリアルなシルエットをスクリーンに浮かべました。
一方、影絵劇ではなく独立したタブロー作品もあります。
うねるような白い点描の連続は、おそらく夜の吹雪の様子ではないでしょうか。
幻想的な世界が広がります。
1957年発刊の「影絵アルバムⅠ日本の民話」より、扉絵。
いくつかの昔話の場面を重ねたものですが、
富士に鶴・亀とはなんとも縁起のいい、お正月にぴったりの絵柄(^o^)
「光彩陸離」にも、鶴が描かれています。
漆黒に浮かぶ姿が凛として、その気高さに心を奪われてしまいます。
同じく「光彩陸離」から。
ここは釧路湿原でしょうか。
湿原に響き渡る鶴たちの声が、聞こえてくるかのようです。
同作品にはワシも現われ、冬の夜の静寂をいっそう引き立たせています。
「光彩陸離」の冴え渡る透明感は、やはり圧倒的。
同じく猛禽類で、タカ。
宮沢賢治の作品、「よだかの星」です。
これは、たくさんの虫の命を奪って生きる自分を嫌って、
「よだかの星」になってしまうという賢治らしいお話。
先生は、星になろうとするよだかの最期の羽ばたきを描いています。
今度はフクロウ。
こちらも猛禽類なのに、彼らはどこかミステリアス。
そんなフクロウのイメージそのままの作品が3作続きます。
まずは「ふくろうの森」。
ミステリアスなのはフクロウにとどまらず、作品そのもの。
メルヘンと心象風景が混ざり合って、先生だけの幻想的な世界が広がっています。
「角笛と少年」。
この視線を外した、どこを見ているのか何を思っているのか分からない表情が、
彼らをミステリアスに見せているのでしょう。
作品から、藤城先生もそんな彼らにとても惹かれているように思えます。
作品名不肖。
昇仙峡影絵の森美術館に飾られているもので、
黒の中に白く浮かび上がるフクロウや木立の様子は、
「光彩陸離」にもつながる閑として清冽なイメージです。
最後は鳩。
洪水の収まったあと、「ノアの箱舟」にオリーブの葉を持って帰る鳩は、
まさに平和でおだやかな世界の象徴ですね。
「銀座と平和の鳥」。
ほとんどの鳩が青いのは、彼らが青い鳥でもあるから!?
「平和の世界へ」の中に描かれた、1羽だけの白い鳩。
この鳩こそは、平和の象徴そのもの。
込められた万感の思いが伝わってきます。
「鳥づくし」締めくくりは、最新作の鳥♪
今年の富山展で一度だけ描かれたイラストです。
ズームアップ!
あっという間に描かれたにもかかわらず、生き生きとして実に愛らしいです(*^_^*)
・・・鳥の作品はほかにもたくさんあって、数え切れないくらい(^^;)
なので今回は、特に印象的なものだけを集めてみました。
機会があれば、ぜひまた特集をしてみたいと思っています(^_-)-☆
◆過去記事
:干支めぐり - 池田銀行にちなんで -
:猫づくし その2
:風車
:犬づくし
:新作「生きるよろこび」
:2014藤城事務所オリジナルカレンダー<5~8月>
:藤城清治美術館グランドオープン出席日記<3>(プロジェクションマッピング)
:藤城清治美術館エントランスの原画
:教文館展便乗♪ 「横丁」もどき <前半>
:日本相互銀行パンフレット
:▲▲▲ナゾの赤い三角▲▲▲
:影絵の中のステンドグラス <2>(追記あり)
:SLのある風景(中編)
:銀座 教文館「動物園展」(前半)猫・犬・鳥・馬などなど
:明治生命1982年カレンダーより(作品を追加しました)
:自宅スタジオ展 その1
:雪景色 その3(民話の世界)
:「富士山」あれこれ集めてみました♪
:「光彩陸離」<冬>(追記しました)
:宮沢賢治特集(4) ~「セロ弾きのゴーシュ」によせて~
:ふくろう、フクロウ、梟
:昇仙峡影絵の森美術館のしおり
:第2回 納涼花火大会 by 影絵
:異色作を集めてみました
:教会の「ノアの箱舟」にちなんで
:教文館 「光と影の横丁展」
:2016教文館展の最新作
:富山展の塔
:<動画>「NEXT 未来のために・光と影で描く戦争の記憶」
:10/1 富山展サイン会模様